2021.01.20
包茎手術について
真性包茎(しんせいほうけい)を自力で治せるのか、治療法やリスク、ネットで見かける矯正グッズの実態、クリニックでの治療との違いなど、専門的な知識と日本国内の実例をもとにわかりやすく解説します。この記事で正しい判断と安全な対応策をご確認ください。
真性包茎(しんせいほうけい)は、包皮を手でむくことが不可能な状態を指します。日本人男性の中では、およそ1割程度が真性包茎とされており、思春期を過ぎても包皮口が狭いために亀頭を露出できないケースが該当します。生まれたばかりの新生児は多くがこの状態ですが、成長と共に自然と剥けることが一般的です。しかし、成人で真性包茎の場合は自然回復が期待できません。
真性包茎には、生まれつきの「先天性」と、疾患や外傷によって後から発症する「後天性」の2つの原因があります。先天性の場合は、包皮の入り口が極端に狭く、自然に剥けることが困難なまま成長します。一方、後天性は糖尿病や包皮炎などの疾患、もしくは外傷や不適切な処置によって包皮口が狭くなり発症します。
分類 | 主な原因 |
---|---|
先天性 真性包茎 | 包皮口の発育不全、生まれつきの狭さ |
後天性 真性包茎 | 糖尿病・包皮炎・外傷などによる瘢痕形成 |
真性包茎を見分ける最も重要なポイントは「勃起時・非勃起時を問わず全くむけない」ことです。また、包皮の出口が極端に狭く、排尿時に包皮が風船のように膨らむ、尿線が細くなるなどの症状がみられることもあります。
さらに、包皮と亀頭の間に垢(恥垢)がたまりやすく、強い悪臭や炎症を繰り返す例もあります。衛生面の問題や、性感染症・尿路感染症のリスク増加も真性包茎の症状としてあります。重症の場合、排尿障害や亀頭の発達障害を起こすこともあります。
症状 | 特徴 |
---|---|
むくことができない | 勃起時・非勃起時ともに包皮が全くめくれない |
排尿トラブル | 排尿時に包皮が膨らむ、尿線が乱れる |
衛生トラブル | 恥垢がたまりやすい、悪臭がする、炎症を起こしやすい |
その他のリスク | 尿路感染症・性感染症のリスク増加、亀頭発育障害 |
これらの原因や症状を理解したうえで、早期の状態把握と適切な対応が重要です。
多くの方から「真性包茎は自分で治すことができますか?」という質問を受けることがありますが、成人男性の場合、自力で完治させることはほぼ不可能です。新生児期にはほとんどの男児が真性包茎の状態にあり、その後の成長とともに自然に包皮がむける場合が大半です。思春期を迎える頃には約9割の方が包皮をむけるようになります(仮性包茎も含む)。
発達途中の子供であれば、自然経過の中で包皮がむけやすくなるケースが多々見られます。このため子供の場合は急激な対応を行わず、清潔に保ちつつ経過を観察するのが一般的な対応となります。
年代 | 自力改善の可能性 | 主な対応 |
---|---|---|
新生児~小児 | 高い(多くは自然に改善) | 清潔保持・無理な剥離は避ける |
思春期~成人 | 極めて低い | 医療機関受診を推奨 |
逆に成人や思春期以降で明らかな真性包茎がみられる場合、包皮口が非常に狭いため、基本的には自力で状態を改善することは困難です。この状況では、包皮を除去する手術以外に根本的な解決方法はありません。
市販のグッズや自己流のストレッチなどで強引に包皮を広げようとする行為には大きなリスクがあります。例えば、痛みや出血、炎症を引き起こしたり、傷痕が残る、さらなる包皮口の狭小化や感染症の原因になることすらあります。
また、糖尿病などの基礎疾患がある場合や、後天的に包皮の狭さが強まった場合も自力で治せないため、安易な自己治療は非常に危険です。
自己流治療法 | リスク例 |
---|---|
市販の拡張器具の使用 | 傷・炎症・感染症・症状悪化 |
無理なストレッチ | 出血・裂傷・包皮の癒着 |
ネット情報のみでの判断 | 重症化・適切な治療時期の遅れ |
こうしたリスクを考えると、成人で真性包茎が疑われる場合は、早期に包茎専門クリニックや泌尿器科クリニックへの受診が最も安全で確実な解決策です。保険診療が適用される場合もあり、疾患や合併症の有無など、医学的に正しい判断を得ることができます。
現在、インターネットや通信販売では「包茎矯正リング」や「包皮ストレッチ器具」といった真性包茎の自力治療をうたうグッズが数多く販売されています。これらのグッズは、「自宅で簡単に安全に治療できる」「手術やクリニックに行かなくても大丈夫」といった訴求で人気を集めていますが、医学的根拠は乏しく、成人男性の真性包茎を完治させたという確実な事例は報告されていません。
特に、包皮口が狭い場合や、癒着・瘢痕化がみられる場合には、これらの器具を無理に使用することで強い痛みや炎症を招くことがあります。当クリニックも含め多くの医療機関や専門医も、成人の真性包茎は自力治療グッズや市販グッズで完治することは原則できないと注意喚起をしています。真性包茎は専門医の診断と治療が望ましいとされています。
グッズの種類 | 主な訴求内容 | リスク・問題点 |
---|---|---|
包茎矯正リング | 装着するだけで包皮が矯正できると謳う | 皮膚の血行障害・むくみ・痛み・装着部位の炎症 |
ストレッチ器具 | 定期的に引っ張ることで自然と剥けるようになると謳う | 裂傷・細菌感染・出血・組織損傷の恐れ |
塗布用クリーム | クリームの成分で皮膚が柔らかくなると謳う | アレルギー反応・効果証明なし・皮膚炎 |
こうしたグッズの多くは「一時的に剥けたように見えても、トラブルに発展することが少なくありません」。また、幼児や成長過程の子どもならごくまれにストレッチで自然に剥けることもありますが、成人の場合、包皮輪の補強・癒着・瘢痕を自力で根本的に治すことはできません。
自力治療グッズや誤った知識に基づく自己流の治療法によって、症状が悪化するケースや深刻なトラブルにつながった事例が報告されています。
たとえば、器具の使いすぎや無理なストレッチによって激しい痛みが生じた結果、包皮が裂けて出血したり、包皮口の腫脹・強い炎症・化膿を来すことがあります。さらに、強引にむいて包皮口を狭い状態で元に戻そうとすると、輪状の締め付け(絞扼)により血流障害を起こし、「嵌頓(かんとん)包茎」と呼ばれる緊急手術が必要な危険な状態に陥ることもあります。
真性包茎はデリケートな問題のため、恥ずかしさから医療機関を受診せずに自己流で対応しようとする方が少なくありませんが、グッズの安易な使用や素人判断の治療法が「重症化のきっかけ」になるリスクがあることを十分に理解する必要があります。
日本泌尿器科学会や多くの包茎専門クリニックは、「自己判断による機器や薬剤の使用は推奨していない」と発信しています。症状の悪化や痛み、出血が生じた場合は、早期に信頼できる医療機関を受診しましょう。
真性包茎は成人の場合、自力で治療・完治させることは非常に困難です。理由は、包皮口が物理的に狭いため、日常的なケアやグッズを用いても状態が改善しないことが多いからです。また、無理に剥こうとすることで痛みや出血、炎症、さらに症状の悪化を招くこともあります。そのため、専門の医療機関での治療が最も安全で確実な方法とされています。
真性包茎の手術は健康保険の適用となる場合があります。外見上の審美目的ではなく、医学的な必要が認められるため、厚生労働省でも保険適応が認められています。診療の流れは、一般的に以下のように進みます。
診療ステップ | 内容 |
---|---|
初診 | 医師による状態の確認・診断。真性包茎か仮性包茎かなどをチェック。 |
手術前検査 | 血液検査・術前説明。持病やアレルギーの確認を行う場合もある。 |
手術 | 局所麻酔または静脈麻酔にて、包皮切除を実施。施術時間は約30〜60分。 |
術後 | 術後経過のフォロー、必要に応じて消毒や抜糸(溶ける糸の場合は不要)。 |
実際の費用は、健康保険適用時は自己負担が1〜3割で済むため、2〜3万円前後になるケースが多いです。ただし、審美目的の治療ではないため、手術跡など見た目を気にされる方は包茎専門クリニックで治療される事をおすすめしています。
皐月クリニックでは、見た目を重視した審美目的の治療も含むため自由診療となります。
手術費用は165,000円(税込)~となります。
手術後は一時的に腫れや痛み、内出血などが生じる場合があります。主なケア・注意点は以下の通りです。
また、社会人・学生ともに日常生活への復帰は比較的早く、多くの場合は数日で通常の生活が可能です。
このように、クリニックでの治療は安全かつ確実な選択肢であり、健康や将来のリスク・清潔維持の面でも非常に重要です。疑問や不安がある方は、まずは泌尿器科や包茎手術専門クリニックに相談することをおすすめします。
真性包茎は先天性・後天性ともに自己判断や自力での治療が難しく、無理な治療や市販グッズの使用は重大なトラブルを引き起こす可能性があります。安全かつ確実に改善したい場合は、泌尿器科や包茎専門クリニックで相談し、正しい治療を受けることが重要です。
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